雑 感 シカゴ
セクマイミーティングに来たきっかけ
私が,初めて新宿二丁目のミーティング場所に来たのは,ぼんやりとしか思い出せないが,ゲイの男性である私のスポンサー(AAにおける相談相手)にメンバーが少なくゆったりと話せる場所だから,みたいな感じのこと聞いて,スポンサーに連れられてきたような感じだった. 初めてのゲイタウン 新宿には頻繁に遊びに来たことがあり,なじみの街だったが,新宿3丁目の駅から外に出ることは今までなかったので,新宿3丁目の駅の階段を上がり,地上に出た時は,とても新鮮な気持ちがしたことを思い出した. 閑散としているのか,開店休業なのか,気まぐれにしか商売をしたくないのか,ただ単に,商売っ気が無いのか,なんだかよくわからない商店街の中にミーティング場所がある. ミーティング場所は3階にあり,大きな窓から近所が見渡せるので,ここが飲み屋街で風俗店も混在しているのがわかる.この街では,男という文字はたくさん見かけるのに,なぜか女という文字が無く,男性用下着屋が軒を連ねているし,商店街を通る男たちが男を求めている目線を目の当たりにして,ゲイタウンだと分かった. 私の病気について 私は数年前アメリカに住んでいたことがあり,ゲイの男たちとも一軒家をシェアして住んでいたが,ゲイの男たちに対して興味を持ったことはなかった.私は性依存症者でもあり,下半身に奇妙な感覚が走るとセックスを男女を問わずしたくなるということがあり,性風俗の盛んな場所を求めて出かけていくことをしていた.いろいろ危険なこともあり,自分ではやめたいと思っていたが,自分ではどうにもならなかったことを思い出した. 私の両親は一流大学卒だったが,大酒飲みで,しばしばトラブルを起こしていた。親戚づきあいもなく,友人も少なく,孤立していた.私は子供ながらも,こうはなりたくないと思っていたが,小学校低学年の時から,親の酒を盗み飲み,親や兄のエロ本を読み漁り,マスターベーションに耽り,性的なファンタジーに酔うことで日々の寂しさを紛らしていた.私は,元々勉強好きだったことや,気が弱いので不良グループに交じることはなく,かろうじて普通の子をやっていた.他人に対し,気を使っても上手くいかず,友人はとても少なく,孤立していた.恋愛したいと思っていたが,全くもてなかったので,風俗店で働いたりしたこともあった. 病的性衝動が止まらず、女性の親友に頼み込んで一度だけセックスしたことがあった。感想は、おたがいとても気持ち良かった。親友としての関係は崩れなかった。 持病の腰腹部痛のため,不眠になり,眠るため酒に睡眠薬を混ぜてブラックアウト(記憶を無くす)することを毎晩繰り返し,イライラが募り,大暴れして精神病院に措置入院したこともあった アメリカの大学に留学中のある日,学生相談室の前にAAのミーティング予定表が置いてあり,初めてAAの存在を知った.行きたいなぁと思ったが,当時は恐れが強く,AAミーティング場所まで私を連れて行ってくれる人はいないだろうと思いこみ絶望感で一杯だった. 大学を卒業後,日本に帰国したが,頭と体が酔っぱらったままだったので,仕事では,相手の言動に囚われたり,恋愛ではパートナーからDVを受けたり,両親は酔っぱらったままで,私に自分勝手な事を言ってくるのでイライラが募る日々だった. 私の孤立感は相変わらずで,外見の若さがかなり衰えた状態では,盛り場や風俗街に行っても相手にされず,もう少し若くないとダメと言われ,行く場所が無くなってしまった.不安だし,なんとかしなきゃと思い,ACなど依存症のメンバーが集まるミーティングに行き始めた.そこでも仲間とうまくいかず,一回行っては休んだり,行かなくなったりしていた. 私の両親の酔った行動が私の安全を脅かす状態になってしまったため,4年前の大みそかに実家を出て,サウナを転々として暮らすようになった. いくつかのミーティング場所で,AAでメンバー同志が助け合い,目覚ましい回復を遂げていることを聞き,AAに行きたいと思うようになった.しかし,なかなか勇気が出ず,朝から酒を飲んでいたわけじゃないし,アル中じゃないかも...と迷い,しかし,気分の落ち込みや,孤独感はひどくなる一方だった.サウナ生活がもうすぐ1年になろうとしていた11月になり,私は,決意した.私にはAAしかない,やってみようと思い切ってあるグループに加入した. AAミーティング場で,「アル中のシカゴです」と初めて仲間の前で挨拶したときの緊張感を今でもはっきりと覚えている.それからは,仲間たちが自然に作り出す波というか,うず潮というか,台風,竜巻?!のような猛烈なパワーに乗せられ,流されるままに身を委ねていたら,自然に私を取り巻く状況が劇的に変化し,静かな回復が訪れていた.お酒が止まると同時に病的性衝動も止まった。 飲む,ということ以外に自由な選択肢が与えられている喜びになんて幸せなんだろう,というあたたかで安らぎのある感覚の訪れは,今までの飲んでいた人生とは全く違うもので,私が経験したことのない新しい世界の入口に繋がっている. 私は,女性であるが,男性と結婚して,子供を持ち...という人生になぜか興味が持てず,男性を女性の持つ家事能力,女性としての容貌,性的魅力でコントロールしようとする女性たちに対して馴染めず,私には居場所がない感じがしていた.私はもともと掃除洗濯料理など,家事が好きで周囲にもうすぐお嫁に行くの?と言われる位熱心にやっていたが,お酒を止めてから家事ができなくなってしまった.でも,今は休養が一番大切で,必要最低限で困らない程度にやっとけばいいやとのんびりできるようになった.飲酒しているときは,なぜか日常の些細な事に対して,強迫的になっていたことに,回復してから気が付かされた. お酒を止めてから4年の月日を経た今は、こんな私でも結婚して子供を持ちたいと思うようになった。 和気あいあいとした雰囲気のミーティング セクマイの仲間たちは,スリムな体型のメンバーが多いのにも関わらず,なぜかお菓子が大好きなメンバーが多くて,ミーティングでは,お菓子を持ってくるのは決まりではないのだが,お菓子を持ち寄り,あれこれ食べながら,おしゃべりを楽しんでいる.もちろん,私のように,お菓子を買ってこないで食べるだけでも,ダイエットと虫歯予防のため,食べずにお菓子を見ているだけでも,お菓子は嫌いだからとお菓子を無視してお茶ばかり飲んでいても.おにぎりやサンドイッチを食べていても,黙って許してくれるところが,セクマイミーティングの隠れた良いところ?!かもしれない. セクマイの仲間以外にもメッセージを運ぶ 毎年夏に,オープンメッセージとして,誰でも参加できる,オープンスピーカーズスタイルのミーティングを行っている.セクマイメンバーが汗だくで自分の問題について熱弁をふるい,場内からの質疑応答に真剣に応じる姿は,感動的だった.会場は立ち見が出るほどの大盛況で,女性たちもたくさん来場し,「初めて,二丁目に来たわ〜」と元々興味はあるが,ゲイタウンのため女性が足を運びにくい場所に来ることができたことに対する満足の声が聞かれた.セクマイにとって脅威となる問題の一つに同性の無理解による偏見,差別があるが,このオープンメッセージや,セクマイミーティングがその問題の解決につながるきっかけになってもらいたいと切に希望してやまない.普段のミーティングでも,ミーティング場所に来てくれた仲間が安全に,気持ちよく参加できるよう話し合いを行っている.
by aa-sekumi
| 2014-03-04 12:48
| セクシュアルマイノリティ
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AA(アルコホーリクス・アノニマス)のプログラムを用いてセクシュアルマイノリティにアルコール依存症についてのメッセージを運ぶグループの連絡/情報ブログです by aa-sekumi カテゴリ
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