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仲間の体験談ーSさん

AAと私

私がAAに通い始めたのは、3年前の5月のことでした。統合失調症による不安感や鬱感をまぎらわせようと、仕事もせずに昼間っからアルコールを飲み、さらに不安感や鬱感を呼び込んでいる状態でした。アルコールを胃が受け付けず、ワインを水で割ってででもアルコールを摂取していました。

保健センターから、AAという所に通ってみないかと勧められました。インターネットで調べると、アルコール依存症で人生のどん底を味わったような人が行く所みたいな書き込みがありました。恐々と会場に行くと、AAの人たちが、楽しそうに笑いながら会話しているのが不思議でした。いざ、ミーティングが始まると、皆、赤裸々な体験談を話され、やはりそれなりの経験をしてきた方々なのだと分かりました。他の人と比べると、自分の悩みなど大したものでないような気がしてきました。

AAのホームページを隅から隅まで見て、セクシュアル・マイノリティのミーティングがあることを、1月ほどしてから知りました。新宿2丁目でやっているミーティングってどんな感じなんだろうと、ドキドキしながら訪ねました。思ったより普通のミーティングで、温かい人たちとお菓子が迎え入れてくれました。自分の過去を振り返ると、ゲイであるということは切り離せない事実なのですが、一般のミーティング会場では知られないように黙っています。ここでは、そのことも話すことができました。

私が、自分がゲイだと気付いたのは意外と遅く、大学生になってからです。一緒にいたいと思う人が、サッカー部とかラグビー部の人ばかりなので、自分は男が好きなのだと気付きました。それまでは、自分は女性の体に興味がない性的に中性な人間だと思っていました。

2丁目に通いだしたのは、社会人になってからです。当時は、酒に弱く、9時くらいから飲んで12時には悪酔いして家に帰っていました。ブラックアウトするのはいつものことで、それが当然だと思っていました。普通の酒飲みはブラックアウトしないと知ったのは最近のことです。

20年前は、自分で言うのもおこがましいのですが、かわいかったので、おじさんたちからよく声をかけられ、それが嫌で2丁目には通わなくなりました。家で、ビール・ロング缶6本を毎日飲む生活が始まります。会社の飲み会では、酒癖が悪いことで有名でした。飲むと、嫌いな同僚や上司に絡んでいました。普段が大人しいので、笑ってすまされるくらいですみましたが。

2丁目に再び出始めたのは、30代になってからです。(あまり)声もかけられなくなり、酒への耐性が付き、週末は終電で出て朝まで飲むのが普通でした。高給の仕事を辞め、安い給料の会社に転職していたにもかかわらず、そのような飲み方をしていたのだから、間もなく経済的破綻が訪れます。借金で借金を返すような生活になってからは、不安で、毎日、家で眞露の瓶を1本空けていました。

自己破産の際、弁護士から、「あなた、おかしいから精神科医に診てもらった方がいい」と言われ、病院を訪ねたら統合失調症ということでした。破産後、半年は落ち込んで酒も飲まなかったのですが、給料のいい仕事が見つかると、また毎日酒を飲む生活に戻りました。酔っ払った状態で仕事をするようになり、会社では、常に同僚に攻撃をしかけていました。今、思うと、同僚や上司は、よくこんな私を許してくれていたなと不思議な気がします。

寛大だったその会社も、リーマン・ショックの影響で経営難となり、給与未払いで辞めることになりました。余剰金は2丁目で使い果たしていたため、貯金もなく、日雇い派遣や居酒屋バイトなどで食いつなぎました。居酒屋は、バイトの女子大生にため口きかれるのに腹が立って、酔っ払って仕事に行ったときに喧嘩して、2カ月で辞めました。家賃も滞納し、払えるめどもなく、自殺も考えました。

その後、友人からの援助や、社会福祉協議会からの貸付金などで生活を立て直します。ハローワークの職業訓練で、介護の資格を取り、働くも、元日、酔っ払って仕事に行き、同僚への不満を上司にぶちまけました。上司が同僚を弁護するので、腹が立って本社に事業所の違法事項を報告した所、本社の査察が入り、事業所の人、全員を敵に回してしまいました。さらに利用者とも喧嘩し、仕事は辞めざるを得ない状況になりました。

仕事を辞め、ひとりで家の中に1日いるようになると、今度は、昼間っから酒を飲むようになってしまいました。連続飲酒の始まりです。肝臓も悪くし、脂肪肝の疑いがあると医者には言われました。始終、不安感と鬱感に悩まされ、心はよどんでいました。

それでも、何かしらの職に就かなくてはと、仕事支援センターを訪れました。就労移行支援事業所を紹介されるのですが、実習でものすごい緊張感に襲われ、45分おきに15分ある休憩時間はトイレの個室に籠っているという状況でした。そのことを正直に、保健センターの担当保健師に伝えた所、最近の薬は性能がいいのでそこまで薬が効かないのはおかしい、ひょっとしてお酒を飲んでませんかということで、連続飲酒が発覚しました。精神科の薬と、アルコールは相性が悪く、薬が効かなくなってしまうそうです。

私にとっては、仕事よりもアルコールを止めることの方が先決だと、保健師からAAを紹介されました。AAに通いつつも再飲酒を繰り返していたのですが、不安感や鬱感は大分、軽減されました。

再飲酒して飲み続ければ、待つのは、経済的打撃と精神的不安定であり、その先にあるのは死かもしれません。今は、AAで断酒を目指しています。

AAセクシュアルマイノリティメンバー S
by aa-sekumi | 2016-04-09 01:07 | セクシュアルマイノリティ
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