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砕かれた街

昨年5月のブログのコメント欄でマット・スカダー・シリーズを紹介しました。
AAに通って酒をやめたアル中私立探偵が主人公のハードボイルド小説です。
ブログ担当者はこのシリーズを読んでAAのことを知りました。

「砕かれた街」はマット・スカダー・シリーズの原作者ローレンス・ブロックによる、9・11同時多発テロ以降のニューヨークでの連続殺人を描いた作品です。
冒頭で最初の犠牲者を発見するのが、AAメンバーのゲイの青年です。
彼はAAに通うだけでなく、過去に麻薬にも手を出したことがあったので、NA(薬物依存症者の自助グループ)にも通っていて、両親もアル中だったことからACOA(アダルトチルドレンの自助グループ)にも通っていて、パートナー(もちろん男性)もアル中だったことからアラノン(アル中の家族の自助グループ)のミーティングにも出ている。
これは決して小説だからという特別なことではなく、ブログ担当者のまわりの仲間をみても、ありがちな話です。
実際、私の父もアル中で、私が10歳の時に精神病院で亡くなりました。
複数の自助グループに通う仲間を何人も知っていますし、何よりこれらの自助グループでは共通の12ステップ・プログラムを用いています。

第1発見者の青年には当然スポンサー(AAでの相談相手)がいます。
AAでは伝統的に、性的な緊張感がスポンサー・シップに影響を与えないように同性のスポンサーを選ぶのが普通です。
これは異性愛者にとってはなんでもないことですが、セクシュアルマイノリティのAAメンバーにとっては、そう簡単なことではないです。
多くのセクシュアルマイノリティのAAメンバーが同性をスポンサーに持ってうまくやってはいますが、悩むでしょう。
実際、ブログ担当者も悩みました。
小説中の青年は、この問題を解決するためにレズビアンの女性をスポンサーにしています。
結局、彼はいくつもの死体に出くわすのだけれど、そのことをスポンサーに電話で相談します。
その場面で、こんな会話が出てきます。

「揚げ足を取るのはやめて、ジェリー。いいから私の話を聞いて。それと、禁酒が教えてくれる教訓のひとつを思い出して。つまり、あなたのその確信は一生ものかもしれないけど、でも、あなたはくそ世界のくそ中心にいるわけじゃないってことよ」
「どうゆう意味だい?」
「あなたが言って」
「つまり、俺がマリリンとモリーをつなぐ唯一の接点だなんていうのは、ただの偶然の一致にすぎない。ふたりは運悪く俺を雇ったから死んだわけじゃない」
「よくできました。さあ、ミーティングに行ってらっしゃい」
「今、ミーティングに出てきたところだ」
「だから?」
「もうひとつ出ても害にはならない」

小説中には、元警察官のアル中の私立探偵も登場しますが、あいにくマット・スカダーではありません。

4年前、ブログ担当者はこの「砕かれた街」を持って、精神病院に入院しました。

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by aa-sekumi | 2009-11-28 16:12 | ゲイ・レズビアン
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