アルコール依存症からの回復~私の経験

AAセクシュアルマイノリティのメンバー、Tさんの体験談です。

『私がアルコール依存と診断されたのは、今からもう10年も前になります。
しかし、当時の自分は「まさか自分がアル中」などということを認めることなど、できるはずがありませんでした。
なぜならアルコール依存症が病気だとは全く知らなかったからです。
「アル中は意志の弱い人」というイメージがあったからです。
だから飲み続けました。「止めようと思えば、いつでも自分の力で止められる」と思って飲み続けました。
しかし、この頃から私は既に飲むことをとめるコントロール能力を失っていたのです。
毎晩一杯のつもりが気がつけば朝になっていました。
そして仕事に行く前には景気づけという言い訳のもとに、朝酒を飲むようになりました。
そこからの人生はジェットコースターの様に急降下していきました。

仕事に行けなくなる。
仕事中にコンビニに隙を見つけては缶チューハイを買って、会社のトイレで一気飲みをするようになりました。
そんな私の姿に会社の上司や同僚も呆れて口もきいてくれなくなりました。
その孤独感から逃れるために、さらに私は一人で飲み続けました。
そして今から3年半前にこの病気の最悪の症状と言われている「連続飲酒」が始まったのでした。
家に4日間引きこもり、飲んでは吐き、吐いてはまた泣きながら飲み続けるという症状に襲われました。
完全に正気を失った私はそれでも数日後に会社に行きました。
狂っていた私はなんと会社から実家に私用電話を妹にしました。
私の様子が尋常でないと察っした妹が「お兄ちゃんお酒飲んでいるでしょ」ときかれた時、私は発狂してこう叫んでいました。
「酒も男と同じで好きでとまらないのよ!」と。
周囲の凍りついた表情。
自らすごい形でのカミングアウトでした。
私は倒れて、翌日駆けつけて来てくれた父親に連れられて精神病院に入院させてもらえました。
世間に自分がアル中だという事とゲイである事がばれた恥ずかしさと、もう言葉も話せなくなり、車椅子でしか動けなくなり、私は自分はもう廃人になると思い、担当の医師に懇願しました。
「先生!僕はもう一度 人間をやり直したいんです。どうか助けて下さい!」と。
先生は私の顔を見てこう言いました。
「大丈夫ですよ。やり直せますよ。アルコール依存症からの回復のための自助グループがあるので、そこに毎日行きましょう」と。
その夜から私のAA通いが始まったのでした。そこでは飲まずに楽しく笑っている人達の姿があり、とても驚きました。
そして私の回復が始まりました。

AAのミーティング会場では、みんな自分の経験を話します。かつてどの様に飲んでいたのか、どうやってこのAAにつながったのか。
そしてこのAAプログラムを通じて自分がどう変わり、今飲まないで生きているかを。
私と同年齢の仲間達が、今は酒を一滴も口にせずに仕事をバリバリしている姿には励まされました。
「自分もこの人達の様に幸せに生きたい」と心底思いました。
回復するために必要な事は4つあります。

まず、アルコール依存症が病気である事を認識して、恥ずかしい事と思わない事です。
そしてたくさんミーティングに出て仲間の話をたくさん聞くことです。
そうする事で孤独感がなくなります。
次に自分より先にAAにつながった人から飲まないで生きていく生き方や考え方を教えてもらいます。
この人達の事をAAではスポンサーと呼びます。
そしてAAのプログラムを通して、自分の欠点を見つけていきます。
また飲んでた頃の自分は何に囚われた考え方をしていたのかも見つけていきます。
同じ病気の仲間達に囲まれて、もう自分を否定する事もなく、過去の自分の古い考えから解放する。
これが出来て初めて私は自分自身を受け入れる事が出来るようになりました。
自分を愛する事が出来るようになり、自分を大切に出来るようになりました。
そして人を大切に愛することが出来るようにもなりました。
もう私は酒に逃げる事はなくなりました。
飲まなくても幸福な生き方が出きる様になったからです。

たくさんの仲間に囲まれながら、AAの中で私は回復する事が出来て感謝しています。
しかし私の仕事はここで終わった訳ではありません。
今まだこの病気でお酒が止まらなくて苦しんでいる仲間の手助けをする事が必要です。
かつて私が助けてもらったのと同じように。
特に私と同じ様に、ゲイというセクシュアリティで悩んでお酒に依存している人がいれば、力になりたいと思もっています。
そういう人達を手助けし続ける事で、私自身が再び飲まずにい続ける事が出来るからです。
これからも私はAAの中で回復と成長を続けていきたいと思っています。
仲間と共に。』

これからも、ブログにメンバーの体験談を掲載します。
なお、体験談はすべて個人の体験/意見であり、AA全体を代表する意見でも、AAセクシュアルマイノリティのグループを代表する意見でもありません(AAメンバーの話はすべてそうです)。
ブログではメンバーの体験談に対する、みなさんのご意見/ご感想を募集します。
ご遠慮なく、TrackbackやCommentsを書き込んでください。
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by aa-sekumi | 2008-05-03 11:40
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