アルコール依存症からの回復(体験談その3)

AAセクシュアルマイノリティのメンバー、Aさんの体験談です。

『私が『アルコール依存症』と言われたのは2004年7月のことでした。
当時、とにかく生きづらい、とカウンセリングに助けを求め、3度目の相談の時でした。
『アルコール依存症』だと言われた時は「大袈裟だよ」とか
「会って三度目じゃん、一緒に飲んだことないくせにそんなことわかるかよ」
「私の酔っ払ったところ見たことあるのかよ」
といった反発心でいっぱいでした。
アルコールを止めるように言われてもそんなことは到底無理なことだと思いました。
反発はしたものの、お酒に依存している(逃げている)自覚が私は充分にありました。
私は物心ついた時には既にぼんやりと『死にたい』と思っており、カウンセリングの門を叩いた頃にはもう、とにかく死にたい..という気持ちでいっぱいでした。
苦しさのいちばんの原因は自分が同性愛者であるということでした。
自分で居ることが苦しくてたまらない..、自分は“キモチワルイ・キチガイ・変態なんだ”という思い、自分自身を受け入れることが出来ずにお酒を飲みました。
自分自身でいることを麻痺させていなければ居られませんでした。

それと、私はずっと好きな人がいました。
相手は女性で12年来の知人です。相手は私のセクシュアリティや私が彼女を好きだということをもちろん知りません。
彼女と親しいからこそ絶対に言えませんでした。また、私は子供の頃から自分の『家族』が欲しくてたまりませんでした。
自分は好きな人と一緒になることが出来ない、自分の家族が持てない。..これには絶望でした。
AAで『違い探し』という言葉がありますが、私の場合アルコールの飲み方云々よりもセクシュアリティのことでの違い探しが長く続きました。
「お前らはいいよな、お酒止めてれば家族が戻るんでしょ?仕事も出来るようになるんでしょ?体も治っていくんでしょ?自分は違うよ、お酒止めたってセクシュアリティは変わらない、一生惨めなまま生きていくんじゃん」
こんな気持ちのままAAの中でも孤立感を抱え、2年が経ちました。
その頃、同じセクシュアルマイノリティの仲間(後にスポンサーになって頂きました)からビッグブックのステップワークを一緒にやりませんか?と声を掛けて頂きました。
とにかく苦しい時期だったので二つ返事でお願いしました。

ここで不思議なことが起きました。
ステップワークをはじめてふた月程経った頃だったと思います。
ある日、
「あぁやっぱり自分は男の人を愛することは出来ないんだな、そーかそーか今までは変えられないものを一生懸命変えようとしてたんだなぁ」
と妙に合点した感覚を抱きました。
変えられないものは変えられないんじゃん、「これ(同性愛者のまま)でいきましょ」..すんなり入ってきました。
これは自分自身に対してのステップ1でした。
何年か前、北朝鮮に拉致された方々が日本に帰国されたのをテレビで観ながら
「いいじゃんいいじゃん、拉致されたってフツー(異性愛者)なんでしょ。好きな人と結婚出来たじゃん」
と思い、また『五体不満足』の著者の乙武さんがご結婚されたとやはりテレビで観た時にも
「手足なくたっていいじゃん。フツーに結婚出来たんじゃん」
と思いました。この人たちよりも自分は不幸だと思っていました。
今にして思えば大変失礼な比較をしていましたが、それまでの私は何を失ったとしてもまた何が無くともただ『男性を愛せる心と身体』が欲しくてたまりませんでした。
今のソーバーは2005年2月26日からですが、私はAAに繋がってからも飲酒欲求がしばらく続いていました。

それが必然なのか、またはたまたま時期が重なったのかどうかはわかりませんが、この自分自身を受け入れたあたりから段々と飲酒欲求もおさまっていきました。
飲酒欲求がおさまった理由を敢えて言うなら、麻痺させる必要=飲む必要がなくなった、ということかしら、と今は思っています。
この1年間で少しずつ自分のセクシュアリティのことをミーティングの中で告白していきました。
いつ人にバレやしないかといつもビクビクしたり、あれほど恥ずかしく惨めに思っていた自分が同性愛者だということを今は何とも思いません。
むしろ、あれだけ苦しんだのは何か意味や役割が必ずあるに違いないと今は思いますし、神様は私を不幸にさせるためにこのセクシュアリティを与えられたのではないと確信しています。
これからも常に回復途上ですが、自分自身を認めたところから私の回復は始まったと思っています。
私は、人が生きていくのに必要なものは『希望』だと思います。いま私には希望があります。
何もかもに絶望していた私を希望を持てるまでにして頂いたのはAAのプログラムや神様、スポンサー、仲間のお陰だと思います。
これからもこの道を外れずに慎重に歩んでいきたいと思っています。』


これからも、ブログにメンバーの体験談を掲載します。
なお、体験談はすべて個人の体験/意見であり、AA全体を代表する意見でも、AAセクシュアルマイノリティのグループを代表する意見でもありません(AAメンバーの話はすべてそうです)。
ブログではメンバーの体験談に対する、みなさんのご意見/ご感想をお待ちしています。
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by aa-sekumi | 2008-06-28 17:04 | Comments(0)
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